あなたは、パニック障害と言う病気をご存知でしょうか?
パニック障害の発作の特徴は、心臓の激しい動悸であったり、めまいや息苦しさなど人によっていろいろですが、共通しているのが「このまま死んでしまうんじゃないか・・・」という死に対する強烈な恐怖感を伴っていることです。
しかし、病院で診察を受けても、パニック障害にたどり着くまでに時間がかかってしまうというケースが多いようです。
今まで経験のしたことがない強烈な不安感で、いてもたってもいられなくなってしまう苦しさなどは全然理解してもらえません。
もしも、これをお読みのあなたが、以前の私と同じようにつらい思いをされているのであれば参考にしてください。
パニック障害とはどんな病気
100人中、2人か3人が発症すると言われている病気なので、珍しいわけではなく他人事ではありません。
100人といえば、家族、親戚、友人を集めたらそれくらいいるでしょうから、その中に1人はパニック障害の人がいるということになりますね。
女性のほうが男性の倍以上、パニック障害になる可能性が高く、実例として倍の数の患者がいます。
発症する年齢は20歳代前半から30歳代前半がもっとも多いです。
また、早いと10歳代後半から発症する人もいますし、お年よりも発症します。
60歳前後までかかってしまう場合があり、幅広い年齢層が特徴です。
パニック障害は、遺伝的素因があると言われていて、家族に発症したことのある人がいると心配されます。
ですから、近い身内にパニック障害になった人がいる場合、あなたも気をつけたほうが良いかもしれませんね。
パニック障害と言う病気は、発病してしまったら、早い段階に専門医に診てもらえれば治り易いとも言われています。
ですが、これがまた難しいところなのです。
なにしろ、体に異常が出ますから、どうしても、心臓が悪いのか、脳に異常があるのか、など、他の病気だと思われてしまうケースが多いのです。
このため、早期の段階では、適切に治療が施されない場合が多いです。
最初に診た医師がパニック障害を疑ってくれたら、それが一番良いのでしょうが、そうも行かないようです。
では、パニック障害とは、どのような発作が起こるものなのでしょうか?
発作としては、突然、呼吸ができなくなったり、息が詰まったようになったりします。
また、動悸が激しく起こることもあります。
冷や汗が出ていたり、手や足が震えたり、吐き気がしたり、眩暈もするようです。
この病気の特徴は、発作が起こったときに、このまま死ぬのではないかと思うくらい恐怖感を味わうことです。
しかし、どの症状を取ってみても、私たちが誰でも経験しているようなこともあります。
ですから、このような発作が1回だけ起こって、もうその後は起こらないのなら、病気ではないでしょう。
問題は、その発作が繰り返すことです。
繰り返し起こると、パニック発作と言うことになり、パニック障害だと診断されます。
この発作は、動悸や呼吸困難などの症状が出るため、体の疾患ではないことをきちんと判別する必要があります。
そして、早期に治療すれば、治る可能性が高いのです。
では、このパニック障害の発作は、どのような原因で発症してしまうのでしょうか?
パニック障害の症状とパニック発作の原因
私たちの脳の中に青斑核を中心とした「ノルアドレナリン神経系」と言うものがあります。
これは、体に危険だと判断すると、警報を出します。
例えば、怖い思いをした時に動悸が激しくなることもそうでしょう。
冷や汗が出ることもありますよね。
パニック障害では、この「ノルアドレナリン神経系」のシステムが誤作動を起こしているということです。
実際には危険がないのにも関わらず、体に対して警報を出します。
そして、身体症状として現れるのです。
青斑核ノルアドレナリン系の異常作動は、恐怖を感じたときなど、それが大脳辺縁系に達し、予期不安を生じてしまいます。
システムの誤作動によって、体が発作を繰り返し、それが予期不安を頻繁に感じさせていると、脳がそれを学習します。
学習するとは、恐怖から体を遠ざけようとします。
そして起こるのが、広場恐怖です。
人の沢山いるところに出ることに恐怖を感じますから、外出することが困難な状態になります。
一人では外出できないなど、社会生活を送ることが困難になり、引きこもったり、うつになったりするケースも多いです。
パニック障害は、更にうつ病との関係が深い病気です。
パニック発作になると、予期不安になり、そして、広場恐怖となり、二次的うつになるケースがあります。
パニック障害に関係した脳の部位ですと、最初は青斑核ですが、それが、大脳辺縁系になり、大脳皮質へと広がって行きます。
とにかく、パニック障害の発作は突然やってきます。
そして、短い時間で終わります。
ですから、多くの症状を、身体疾患の何か一つとして診断することは困難です。
発作が起こった時は、本当に病気の人に見えますが、普段はどこも悪くない健康体の人です。
体はどこも悪くないのに、突然、パニック発作が出ると言う、本当にやっかいな病気ですね。
早めの治療が大切ですから、家族や周囲の人にこのような発作が起こる人がいたら、早く受診させましょう。
まず、あなたがパニック障害と言う病気のことを良く理解しておくことが大切なのです。
パニック障害の診断
パニック障害と言う病気は、最近になって、芸能人や著名人がマスコミを通じて公表するようになってきているので、病名はいくらか知られるようになってはきましたが、まだまだ世間一般には広く知られていない病気です。
ですから、家族が、自分が、いつか、突然、パニック障害の発作を起こした時、何の病気だかわからずに焦る人が多いことも確かです。
事前に知っていれば、精神科で診てもらうことも選択肢にあるかもしれませんが、何も知らない方は、体の不調だと思い、ただ、病院を回ることになってしまいます。
早い段階での治療スタートが好ましい病気ですので、発作などを目の当たりにして、「これはパニック障害かもしれない」、そう思ったら、思い切って精神科や心療内科で診てもらいましょう。
慣れていない方は、このような病院に行くことをためらうと思いますが、早めに診てもらうことが大事なのです。
そして、これからも長い付き合いになるかもしれませんから、何でも話せる、相談できる、信頼できるお医者さんと巡りあうことも大切なのです。
パニック障害の発作と言うものは、いったん、それが発症しなくなっても、引き続き、予期不安や広場恐怖については、続いてしまうケースがあります。
発症しなくなったら治ったと思ってしまいますが、それは、ちょっと違います。
なぜなら、パニック障害の発作は突然、発症しますが、発病して最初のころは、特に頻繁な発作が起きます。
そして、やがて、回数が少なくなってくるのです。
ですから、初期をころ、発作が多かったことを経験していると、発作が少なくなって、なかなか起きないので、ひょっとしたら治ったのかもしれないと勘違いすることもあります。
ですが、発作が軽くなり、頻度が少なくなっても。相変わらず、予期不安や、広場恐怖が起きます。
これが、パニック障害の特徴と言えるでしょう。
それから、慢性化してしまうと、別の病気も発生してしまいます。
抑うつや、アルコール依存症などです。
パニック障害の患者さんについて、治療の結果をデータにしたものを見ると、70パーセントから80パーセントは改善が見られたそうです。
ですが、残りは状態が変わらないか、更に悪化したことになります。
パニック障害は、通常、慢性的になってしまい、ある程度の時期を超えると、症状が軽くなるようです。
ですが、それから、また再発するケースも多いのです。
治療を始めてから6年後くらいには、経過良好が30パーセントほどだと言われています。
改善されたというのが30パーセントから50パーセントくらいです。
そして、不変、また、悪化した患者さんは全体の20パーセントから30パーセントと言うデータになっています。
パニック障害の対応
パニック障害だと診断されたら、その後は、気持ちをどのように持って治療に望んだら良いのでしょうか。
どんなことを心がけて暮らしたらよいのでしょうか。
まず、病気に対して臆病にならないことです。
発作のことを思うと、何もかもイヤになってしまい、何もする気が起きないかもしれません。
それまで積極的だった人が、消極的になってしまうことも無理ありません。
ですが、気持ちは前向きに、そして、逃げずに積極的な姿勢で病気に取り組みたいものです。
パニック障害の症状でもありますから、常に不安を感じることは、仕方のないことですが、不安への対処法を自分なりに見つけることも大事です。
気持ち面で不安に対処できるようになれば、服用する抗不安薬なども減量出来るでしょう。
気持ちが負けてしまっていては、いつまでも薬に頼るしかありませんからね。
もし、不安が起こってしまった場合は、その時、その時で、上手く処理できれば一番良いのです。
不安を処理することが上手くなれば、次第に不安に感じる回数も減ってきます。
その不安を上手く処理する方法ですが、時間が過ぎるのをひたすら待つ、気持ちが落ち着くのをただ待っている、と言う方法もあるでしょう。
ですが、誰かを頼ることも必要です。
もし、一人でいるときに不安に襲われてしまったら、我慢せずに、家族に電話をして話したり、友達に電話をして話を聞いてもらったりすることも大きな支えになります。
今は携帯電話が普及していますから、どこにいても、すぐに電話することが出来ますよね。
遠慮せずに電話をかけられる人が、何人かいると安心です
そのためには、パニック障害のことをきちんと相手が理解してくれていることが必要でしょう。
不安が起こったときは、家族や親しい友達で、事前に病気のことを話し、理解してくれている人を頼りたいものです。
また、一人で対処する場合は、気分転換をする必要があります。
例えば、音楽を聴いたり、歌ったりすることも良いでしょう。
外出中でそのようなことが出来ない場合は、数をカウントしたり、足でリズムをとったりすることも良いです。
外の景色を眺めてみることも良いでしょう。
これは、不安を感じた時、その不安ということだけを見つめるのではなく、他に気をとられることが大切なのです。
数をカウントすれば、それに集中できますよね。
他に気を行かせ、不安を忘れるということです。
もちろん、ストレスをためないことも病気の克服には大切です。
没頭できる運動や、趣味などを持つこともパニック障害の治療には必要と言えるでしょう。
ですが、激しい運動はNGです。
激しく運動した後は、体内に乳酸がたまります。
その乳酸がパニック発作を起こすと言われていますので、激しく運動することは避けたほうがよいですね。
激しい運動ではなく、軽いエクササイズにしてください。
ストレス解消が上手に出来たら、パニック障害の症状を軽くしてくれるでしょう。
このように、いろいろな方法がありますから、自分なりに上手く気分転換することを覚えて下さいね。
ストレス解消、リラックスと言うと、どうしてもお酒を思い浮かべてしまう人もいるようです。
ですが、お酒は、パニック障害の人が摂取し続けると、不安をお酒で解消する癖がつき、アルコール依存となってしまう危険性があります。
また、コーヒーはリラックス出来て、気分転換にもなりよい飲み物ですが、含まれているカフェインは、交感神経に作用します。
ですから、パニック障害の患者がたくさんのコーヒーを摂取した場合、パニック発作を誘発するケースがあるそうです。
コーヒーは好きな方でしたら、一日、何倍も飲んでしまうと思いますが、パニック障害を発症している方で、コーヒーが大好きな方は、特に飲み過ぎには注意ですね。
何かを摂取してリラックスことも良いですが、心身ともにリラックスする方法は他にもあります。
例えば、腹式呼吸です。
呼吸法をマスターしておくと、いつでもどこでもリラックスできるようになります。
不安を感じた場合、自分で対処できるように、その場にあったリラックス方法をマスターしておくと助かりますね。
腹式呼吸を使ったヨガなど、良いエクササイズだと思います。
激しくありませんし、ゆったりした気持ちで行う運動ですからね。
興味のある方は、始めてみたらいかがでしょうか。
パニック障害の治療
パニック障害だけでなく、どの病気もそうですが、早期の段階で治療を始めることが大切です。
いろいろな病気がある中でも、特にパニック障害は、なってしまった早い段階で、診断され、治療が開始されれば、比較的、治りやすいと言われています。
ですが、パニック障害だとわからずに、他に原因があると間違われたり、間違った病気と診断されたり、なかなか診断が下りずにいろいろな病院をまわっているうちに悪化してしまうケースも少なくありません。
治療がスタートできないまま、重症になってしまい、治りにくくなってしまうのです。
パニック障害と診断されると、治療方法として、薬物療法、それから、心理療法をすることになります。
発症した当初の段階では、検査をしながら、パニック障害かどうか、鑑別することに重点をおきます。
その後、パニック障害だと診断が確定されれば、パニック発作を無くすための薬物療法がスタートします。
これは、抗うつ薬が中心となる治療です。
また、予期不安などを少しでもなくすために抗不安薬も併用しての治療となります。
こうして、薬物療法でパニック発作がなくなれば、抗不安薬は減らされるか、使用をやめ、抗うつ薬だけの単独療法になります。
また、支持療法など、心理療法も併用します。
広場恐怖が続くケースですと、エキスポージャー療法と呼ばれている、訓練療法を行います。
そして、薬物療法より、心理療法へ比重を置いての治療となります。
パニック障害の治療では、発作が起きることを怖がらないようにすることが重要です。
実際に発作が起きてもいないのに、発作の経験がある人は、「いつ発作が起こるのか?」とか、「今、発作が起きたらどうしよう」とか、不安に陥ったり、心配しすぎたりすることに問題があります。
また、発作が実際に起きた場合、必要以上に慌てること、文字通り、パニックになることは、症状が余計に悪化しますから、気持ちを落ち着かせることが重要なのです。
ですから、パニック障害を治療するには、その方法として抗うつ薬など使うほかに、認知行動療法や、支持療法などの、心理療法が有効です。
認知行動療法によるパニック障害の治し方
これは、認知療法に行動療法を取り入れた心理療法です。
具体的に言いますと、その人が怖がったり、避けたりしている場所にあえて、行ってみることです。
これによって、その避けていた場所を克服できるように、少しずつ、成功する体験を積み重ねます。
例えば、人が沢山いる場所が怖い人もいるでしょう。
そのようなケースは、人の多い場所に行くことで、その恐怖を克服するということです。
例えば、いきなり人ごみは大変でしょうから、まずは、人通りが割りと多い場所に行ってみることですね。
もちろん、恐怖感がある患者さんに、無理強いすることは禁物でしょうが、怖いからと言って避けているだけでは、何も解決しませんよね。
当然、これらは、医師の指導で行う治療法ですから、信頼のおける主治医の指示を受けて行われる治療です。
パニック発作がなくなったとしても、その後も残りやすいと言われている予期不安によって、起こる回避行動があります。
また、広場恐怖を克服するために、この認知行動療法が、米国APAガイドラインでも推奨されている治療法なのです。
この認知行動治療法は、治療期間が他と比べて短期間であることがメリットです。
それに、パニック障害の治癒率が高いこともメリットとしてあげられるでしょう。
また、パニック障害の他の治療法と比べ、再発の可能性が低いこともあります。
認知行動療法は、どのようなことを目的として行われる治療法なのでしょうか。
それは、パニック障害の患者をとりまく環境、また、生活状況、身体感覚などが、発作と関連していることを学ぶことです。
この関連性を学ぶことによって、パニック発作をセルフコントロール出来るようにしたいということです。
この認知行動療法はすでに他国では、有効な治療法として証明されています。
例えば、イギリスでは、「パニック障害」や「強迫性障害」における治療の約7割で、薬物治療よりも高い効果が示されたという結果が出ているそうです。
しかし、認知行動療法の治療を受けるためには、長期間にわたって取り組む必要があり、日本では普及はまだまだ十分ではありません。
ですから、日本でもパニック障害の治療法として、この認知行動療法が普及すれば、つらい思いから解放される患者さんも多くいらっしゃると思います。
パニック障害の薬
ここでは、パニック障害で行われる治療について、お話しましょう。
治療のポイントは、パニック発作を予防することです。
パニック発作が起きなければ、他の症状へと繋がらないわけですから、それを抑えられるように治療を行います。
この際の治療薬としては、通常、パキシルなどの抗うつ薬、または、抗不安薬が使われます。
また、この両方の薬剤を使うケースもあります。
パニック発作が出なくなると、抗不安薬の仕様は中止したり、減量したりします。
ですが、ここでのポイントは、パニック障害と言う病気は、完全に治療しておかないといけません。
そうしないと、後々、うつ状態などが残ってしまう場合があります。
ですから、抗うつ薬は減量しますが、しばらく続けて使うことがポイントでしょう。
パニック障害にも使われている抗うつ薬ですが、10年ほど前に、第三世代の抗うつ薬が出ました。
これは、セロトニンが再取り込みされることを阻害する薬です。
この新薬で、パニック発作における効果が認められている薬もあります。
また、第四世代抗うつ薬の、セロトニン、ノルアドレナリンが再取り込みされることを阻害する薬もその後、発売されました。
これは、副作用も少ない薬であり、パニック障害の治療に期待される薬です。
それまで、パニック障害に使われていた、従来の抗うつ薬がありました。
三環系抗うつ薬と呼ばれているものですが、これは、抗うつ薬の中でも、最初に作られた第一世代の薬です。
これは副作用として、便秘になったり、尿が出にくくなったりしました。
治療の際に、副作用が出ることはどの薬も付きものでしょうが、出来たら副作用はないに越したことはありませんよね。
その後、1980年以降に、この副作用を緩和した、次の第二世代抗うつ薬が登場します。
そして、第三世代、第四世代と、抗うつ薬が発売されて行ったのです。
医療の世界では、副作用を改善するための、常に薬の研究や開発が進められていますから、パニック障害の薬も、時代とともに、良いお薬がどんどん登場するわけです。
さて、パニック障害の治療をするため、中心になる薬は抗うつ薬ですが、この効果が2週間くらい経たないとわかりません。
ですから、薬の効果がより早く現れて、さらに予期不安にも有効である、抗不安薬も抗うつ薬と一緒に使います。
抗不安薬は、まだまだ心配な薬であり、時には依存したり、乱用してしまったり、離脱症状などを起こすことがあります。
パニック発作が出なくなったからといってすぐに、薬を止めることはあまりよくないそうです。
それは、この時に、薬を服用し続け、きちんと治療しておかないと、その後、うつ状態になってしまうケースもあるからです。
専門医の指示に従って、適切な治療を受け、薬はちゃんと飲みたいものですね。
パニック障害の治し方
パニック障害と言う病気は、他の身体的な病気と違いますので、とにかく焦らず、病気とうまく付き合うことが大切です。
本人も病気を完治させようと焦らないように心がけるようにしたいです。
また、患者さんの周囲の方は、本人の気持ちを理解してあげることが大切でしょう。
一番身近にいるご家族の理解がなくては、患者さんも余計につらくなってしまいます。
ここでは、パニック障害の患者さんがいるご家族の方に、是非、心がけて欲しいことをご紹介します。
まず、何よりも、本人が不安な気持ち、パニック障害と言う病気と直面して不安定な気持ちを理解してあげることです。
いつ発作が起こるか、常に気持ちが落ち付きませんから、話し相手がいると気持ちが落ち着きます。
ですから、ご家族の方は忙しくても手を止めて、本人の話を聞いてあげましょう。
また、本人が不安を感じると、すぐに電話をかけてくるケースもあります。
そんなときは、電話に出てあげて、話を聞いてあげましょう。
聞いてもらうだけでも、そのときは気分が良くなると思いますから、忙しいなかでも話し相手になってあげましょう。
また、広場恐怖の患者は、単独で外出することが難しいです。
ですから、行きたい場所がある、行かなければならない場所がある場合、付き添うことが必然としなります。
面倒に感じるでしょうが、一緒に行ってあげて安心させてあげることが大切でしょう。
また、病院ですが、信頼できる医療機関、主治医を探すことが大切です。
不安をアルコールで紛らわすことを、覚えると依存症になってしまう危険性もありますので、お酒を飲みすぎてないか気をつける必要があります。
医師は家でのことまで見てられませんから、この辺はご家族が気をつけてあげましょう。
患者さんが容易にお酒を手にすることが出来ない環境を作るのは、身近にいるご家族の方です。
そして、ご家族が一番、心配なことは、発作が起きたときにどう対処したらいいのか、と言うことでしょう。
一緒にいるときにパニック障害の発作が起きてしまったら、患者には座ったまま、ひざを抱えさせ、前傾になる体勢を取らせます。
この体勢だと、少しは楽になるようです。
また、本人は、死の恐怖におびえていたら、「死ぬわけがない!」と、否定しましょう。
大丈夫だと言い聞かせ、安心させてあげてください。
家では家族に支えてもらいながら、きちんと病院に通いましょう。
そして、適切な治療を受け続け、薬もちゃんと服用することです。
パニック障害が治るまで、長い時間がかかると思ってご家族も気長に構えたいものです。
焦って不安なのは患者本人なのですから、不安をあおらないように、優しく見守ってあげてください。
そして、必要なときはご家族が手を差し伸べて安心させてあげることです。
パニック障害と漢方での治し方
漢方薬は、みなさんもご存知のようにいろいろな病気に対して有効です。
すでに服用されている方もいらっしゃるでしょう。
病気になる前に、予防する意味で飲んでいる方もいらっしゃると思います。
現在では、漢方薬のわかりやすいウェブサイトもありますし、私たちの身近な存在になってきましたよね。
そして、パニック障害と言う病気に対しても、この漢方薬が有効だと言うことで、活用されています。
パニック障害は、実は昔から存在している病気であり、知られるようになったのは最近のことです。
英語でパニックと名称が付いていると、まるで新しい病気のように感じますが、古くからある病気のひとつです。
漢方において、パニック障害は「奔豚気病」と呼ばれていて、昔から漢方での治療の対象となっているのです。
さて、パニック障害に処方される漢方は幾つかありますので、ここでご紹介しましょう。
「柴胡加竜骨牡蛎湯」、これは、「さいこかりゅうこつぼれいとう」と読みます。
不安や、不眠、動悸、眩暈、のぼせに有効で、また、便秘にも効きます。
「柴胡桂枝湯」は「さいこけいしとう」と読みます。
これは、発汗や、悪寒、微熱、身体痛、そして、食欲不振、吐き気などに有効です。
他にもパニック障害に良いとされる漢方薬は「酸棗仁湯」です。
これは「さんそうにんとう」と読みます。
神経過敏の人に有効な漢方です。
「半夏厚朴湯」は「はんげこうぼくとう」と読みます。
喉異物感や、眩暈、動悸、それから、吐き気や食欲不振に有効です。
また、自律神経を調節してくれる漢方薬です。
「茯苓飲合半夏厚朴湯」は「ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう」と読みます。
これは、喉異物感や、動悸、不安感の緩和に効果的な薬です。
医師の診断でパニック障害と言われた方は、病院でも薬を処方されます。
ですから、漢方を使うのでしたら、主治医と相談してからにしましょう。
西洋医学ですと、病気を治しますが、漢方医学としての考えは病人を治すと言います。
西洋医学においては、人が病気になると、どこか部分的に異常が出て、その部分的な異常が病気の原因だと考えます。
その部分を取り除く、その分を治せば、病気が治るというものです。
それとは違って、漢方では、病気の原因を部分的だとは考えません。
体のバランスが崩れ、それが原因で部分的に異常が出ると思います。
その部分が悪いのではなく、それ以外の部分にも原因があると考えるのです。
この考え方に基づいて、漢方薬を服用するのですから、パニック障害で漢方を服用したいと思うかたも、この考え方に同意してこそ、薬の効果も見られると言うものです。
気、血、水と言う概念が漢方では使われています。
3つのバランスを整えることが出来たなら健康になれるということで、バランスを整えてくれるのがと漢方薬です。
この3つは、生命活動の基本と言われています。
気は、生きて行く活力源であり、呼吸や消化吸収、それから、神経系の機能のことです。
血は、血液を含む、体液の総称です。
循環器系や、また、ホルモンの分泌系の機能のことです。
水は、水液の総称であり、リンパ液や、免疫系などの機能のことを表します。
また、気は「元気」、「気力」と言うことです。
気の量が減ると、せっかく栄養を摂取しても、その栄養素が体に行きわたりません。
それから、血は経絡です。
ツボと言えばみなさんも、ご存知でしょうね。
血の量が不足したり、血が停滞したりすると病気になってしまいます。
それから、水の分布がバランスを崩したり、停滞したりすると、それは、水毒と呼ばれます。
むくみや、めまい、立ちくらみもこれが原因と言われています。
免疫機能にも水は深い関係があり、水が乱れるとアレルギーの要因にもなると言われています。
漢方薬はこの3つを正常に戻すという考えのもと、考えられた薬です。
先ほど、ご紹介した幾つかの漢方薬がパニック障害の症状にちょうど当てはまっているものもありましたよね。
症状を緩和する、そして、体、全体を整え、健康な体に導いてくれるものが漢方なのです。
まとめ
人によって、パニック障害が治るきっかけは様々ですが、まずはあなた自身がパニック障害と本気で向きあい、正しい知識を身につける事が最も大事な事なのです。
パニック障害を完治するためには、他の身体的な病気と違いますので、とにかく完治させようと焦らず、病気とうまく付き合うことが大切です。
それと、焦って不安なのは患者本人なのですから、ご家族も気長に構え不安をあおらないように、優しく見守ってあげてください。
そして、必要なときはご家族が手を差し伸べて安心させてあげることです。
不安を感じやすい人は、同時に感受性が豊かなのです。
従って、パニック障害を起こす人はこの感受性を良い方向に伸ばせば、素晴らしい人生が歩めるのです。
武道の極意を表す有名な柳生家の家訓というものがありますが、
小才は、縁に出合って、縁に気づかず。
中才は、縁に気づいて、縁を生かさず。
大才は、袖すり合った縁をも生かす。
このタッタ3行の中に人生の達人になる秘訣が隠されています。
大才とは名人、達人のことですが、そこに書かれている「袖すり合った縁をも生かす」ということは感受性が豊かでなければ到底考えられない境地なのです。
そして感受性豊かなあなたは、人生の達人になれる素養があるということを信じて、パニック障害を克服してください。